「ヘッドガスケット」や「バッフル」、「台形フットボックス」など、寝袋の機能一覧を見ても、何のことか分からないという方も多いでしょう。
こうした専門用語や、それぞれの機能が快適な睡眠にどう影響するのかを知らなければ、自分に合った寝袋を選ぶのは難しいものです。
そこで今回は、星空の下で最高の眠りを得るために知っておきたい寝袋の技術と機能を詳しく解説します。寝袋の各部位とその特徴を学んでみましょう。
寝袋のパーツと特徴

すべての寝袋が下記の機能を備えているわけではありませんが、それぞれが重要な役割を果たしています。寝袋の技術や部品、機能は、体温を逃さず、アウトドアでの睡眠をより快適にするために存在します。
シェル
寝袋の外側を覆う生地のことです。シェル素材は、内側のライニングよりも耐久性が高く、耐水性や防水透湿性を備えている場合もあります。
ライニング
寝袋の内側の生地で、肌に直接触れる部分です。通常、柔らかく快適な素材が使われており、吸湿速乾性を持つものもあります。
アナトミカルフード
頭部を包むフード部分は断熱性があり、頭や首からの熱を逃がさない役割を果たします。特に「アナトミカルフード」は、首や頭の形状に合わせて設計されており、快適性と保温性が高まります。
ピローポケット
フードの内側にあるポケットで、衣類やキャンプ用の枕を入れて、頭のクッションとして使用できます。
スタッシュポケット
寝袋のフードや胸元などに設けられた小物入れです。例えば、フードポケットには時計を入れておけば、早朝の出発時にすぐ確認できます。胸ポケットには音楽プレーヤーなどを収納しておくと便利です。
ドラフトカラー
「ヘッドガスケット」とも呼ばれる、首元の断熱カラーです。首周りからの熱の放出を防ぎます。ドローコードでフィット感を調節できるものが多いです。
ドローコード
フードやドラフトカラーの開口部を締めたり緩めたりするためのコードです。熱の逃げを防ぎ、フィット感を高めます。
バッフル
寝袋の中綿(ダウンや化繊)の偏りを防ぐための仕切りや縫い目のことです。バッフルがあることで中綿が均一に保たれ、冷えやすい部分をなくし、保温性を高めます。
ドラフトチューブ
ジッパー部分に沿って配置された断熱材入りのチューブです。ジッパーからの冷気の侵入や暖気の漏れを防ぎます。
サイドシーム
寝袋の側面の縫い目で、前面と背面の生地をつなぎ合わせています。中には、サイドシームを底面に配置し、前面の生地で体全体を包み込むことで、保温性を高めたデザインもあります。
ダブルジッパー
上下どちらからも開閉できるジッパーです。足元だけを開けて通気性を確保したり、上部を開けて出入りをスムーズにしたりと、温度調節がしやすくなります。
ジッパーの長さ
フルレングスのジッパーは、寝袋への出入りや温度調節が容易ですが、その分重量が増します。ハーフレングスのジッパーは軽量化に適しており、ジッパーなしの寝袋は超軽量を目指す方におすすめです。
フットボックス
寝袋の足元部分で、足を置くスペースです。台形やフレア型のフットボックスは足先にゆとりがあり、快適さが向上します。特に登山用寝袋では、湯たんぽやブーツライナーを収納できるよう、足元が広く設計されているものもあります。
パッドループ
寝袋の側面に付いているループで、スリーピングパッドと連結できます。寝ている間に寝袋がずれるのを防ぎ、快適な睡眠をサポートします。
ハンギングループ
寝袋の底部などに付いているループで、収納時や乾燥時に吊り下げるためのものです。吊るして保管することで、中綿のロフト(膨らみ)を保ち、断熱性を維持できます。
寝袋の形状

寝袋にはさまざまな形状があり、それぞれに特徴とメリットがあります。
マミー型寝袋
最も保温性に優れた形状で、頭から足先まで体にフィットします。無駄な空間(デッドエアスペース)が少ないため、熱の損失を最小限に抑えます。
また、使用する素材が少なくて済むため、軽量でコンパクトに収納できます。断熱フードが付いているので、頭部の保温性も高いです。
長方形寝袋
体を伸ばしてゆったりと眠りたい方におすすめの形状です。マミー型に比べて内部に余裕がある分、保温性は劣りますが、寝返りが打ちやすく圧迫感が少ないのが特徴です。価格も比較的リーズナブルなものが多く、温暖な季節のキャンプに適しています。
セミレクタングラー(半長方形)寝袋
マミー型と長方形の中間的な形状で、肩や腰周りにゆとりを持たせつつ、足元にかけて徐々に細くなっています。マミー型よりも広々としており、長方形よりも保温性が高いバランスの良いデザインです。ただし、マミー型ほどの軽量性やコンパクトさはありません。