寝袋選びは意外と難しいものです。アクティビティによって考慮すべきポイントがたくさんあります。
素材は何が良いのか?形状はどれがベストか?温度表示の見方は?この記事を読めば、その疑問がすべて解決します!
寝袋の温度評価を理解しよう

多くの高性能寝袋は、国際規格ISO 23537に基づいて温度評価が設定されています。
これは「Tコンフォート」、「Tリミット」、「Tエクストリーム」の3つの温度カテゴリーに分かれています。寝袋を選ぶ際には、以下の基準を参考に適した温度範囲を確認しましょう。
- Tコンフォート(快適温度):標準的な成人女性がリラックスした姿勢で快適に眠れる温度を指します。彼女はベースレイヤーを1枚着用しています。
- Tリミット(下限温度):標準的な成人男性が体を丸めた姿勢で快適に眠れる最低温度です。彼もベースレイヤーを1枚着用しています。
- Tエクストリーム(極限温度):標準的な成人女性が短時間であれば生存できる最低温度です。この温度帯では快適な睡眠は期待できず、強い寒さを感じます。
つまり、あなたが体験するであろう最低気温に合わせて寝袋を選び、「Tコンフォート」温度帯内に収まるものを選ぶのがおすすめです。
体を暖めるよりも冷ます方が難しいため、旅行中に予想される最低気温よりも高い「快適温度」を持つ寝袋を選ぶと安心です。
寝袋の形状を選ぶ

寝袋の形状は大きく分けて「マミー型」、「セミレクタングラー型(半長方形)」、「レクタングラー型(長方形)」の3種類があります。それぞれにメリットがあります。
なお、寝袋の適応身長にも注意しましょう。快適に眠るためには、自分の身長に25~30cm余裕を持たせたサイズを選ぶと良いです。
マミー型寝袋
- 特徴:最大限の保温性と軽量・コンパクトさを実現。
- 詳細:足元が細く、体にフィットするデザインで、余分な空間を減らしています。これにより、暖めるべき空気の量が少なくなり、効率的に体温を保持できます。頭部にはフィットするフードが付いており、保温性をさらに高めます。
セミレクタングラー型寝袋
- 特徴:足元にゆとりがあり、ブランケットとしても使用可能。
- 詳細:さまざまな用途や気温に対応できる万能型。テーパードカットにより効率的な保温性を保ちつつ、横向きで寝たり寝返りを打つ人にも快適です。マミー型と異なり、広げてブランケットとして使えるので、暖かい季節にも便利です。
レクタングラー型寝袋
- 特徴:ゆったりとした空間があり、快適さ重視。
- 詳細:足元も肩幅と同じ広さで、最も開放的なデザインです。暖かい気候やキャンピングカーでの使用、または寝袋を他の人とシェアしたい場合に適しています。ただし、収納サイズが大きく重量も増すため、持ち運びには注意が必要です。
寝袋の中綿を選ぶ

寝袋の中綿には、大きく分けて「ダウン(羽毛)」と「合成繊維」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分の用途に合ったものを選びましょう。
ダウン(羽毛)中綿
ダウン寝袋は、長期のトレッキングや寒冷地でのキャンプ、世界旅行、アルプス登山などに適しています。
- メリット:
- 保温性:市場で最も軽量で高い保温性を持ち、同じ重量でこれ以上の暖かさを提供する素材はありません。ダウンフィルパワー(FP)が高いほど、保温性が高くなります。
- 軽量性:持ち運びやすく、重量を抑えたい場合に最適です。
- コンパクト性:圧縮性に優れており、バックパックに収納しやすいです。
- 耐久性:適切にケアすれば10年以上使用可能です。
- デメリット:
- 耐水性の低さ:湿気に弱いため、撥水加工が施されたダウンや防水性のある外素材を選ぶと良いでしょう。
- 価格が高め:合成繊維の寝袋よりも高価ですが、長期的な投資と考えれば価値があります。
合成繊維中綿
合成繊維の寝袋は、一泊のハイキングやキャンプ、さまざまな気候条件での旅行に適しています。
- メリット:
- 湿気に強い:湿った環境でも保温性を維持しやすく、濡れても乾きやすいです。
- お手入れが簡単:洗濯機で気軽に洗えます。
- 価格が手頃:ダウン寝袋よりも予算を抑えられます。
- デメリット:
- 重量がある:ダウンに比べて重く、荷物の総重量が増える可能性があります。
- 保温性の限界:極寒の環境では、ダウンほどの保温性は期待できません。ただし、合成繊維の耐久性とダウンの暖かさを兼ね備えたハイブリッドタイプも存在します。